デジタルアンプの出力は「大は小を兼ねない」

まず人気のあるTDA7498Eの高調波歪特性である。
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次にtripathのTA2024の高調波歪特性。
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参考にWE300Bシングルアンプの高調波歪特性である。
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これらはあくまでも参考であり、音質の良し悪しの絶対値ではありません。

 

しかし、高出力のアンプが低出力での使用にはあまり好ましくないということは明白です。

もちろんスピーカーが小口径で能率が低い場合は、アンプの出力はゆうに10 倍以上は必要ですから、この出力対歪み率の見方は若干変わりますが、それでも低出力ほど歪み率が上がる事には変わりがありません。

 

くどいようですが、こうしたデータだけが音質を決めている訳ではありません。(特にWE300Bアンプは歪み成分が第2次高調波ですから、むしろ音質向上に貢献しています。)

 

しかし、私の愛用するJBLのL26での平均的出力1W未満程度での試聴では、明らかに高出力デジタルアンプの音質は好ましくありません。

 

どうも最近のオーディオシステム開発は技術だけが進歩して、ハイスペック化が進んでいますが、ビンテージオーディオ製品が消えない理由はそこらにありそうです。

カセットテーププレーヤ

Googleニュースを見ていたら、カセットテーププレーヤの記事があった。

https://www.phileweb.com/review/article/202404/11/5551.html

今どきカセットテープかい。

と思ったが、終わりまで読むと大昔の技術とは違ったポイントがある。

メカはカセットテープ誕生時と同じ機械式である。

 

カセットテープは大昔philipsが開発したもので、日本ではスタンダード無線、今のマランツが1号機を発売したと記憶する。

カセットテープのデッキは各社驚異的な技術開発に励んで来た。

それにより昔のオープンリールデッキに性能的に追いついた感がある。

しかしその時点でCDプレーヤが誕生した。これもphilipsが関わっており、急速にカセットテープは衰退していくのである。

 

話しを戻しカセットテーププレーヤであるが、ウォークマンなど高性能小型化が進みこれも進化し過ぎ、ゴムベルトの伸び、電子回路や複雑なメカの故障等で自滅の道を歩んだ。

その点最近のカセットテーププレーヤはあまり小さくせず、機械式メカに戻り、故障率が下がったと言える。

カセットテープデッキとともに利用したいものだ。

お勧めはCDをカセットテープに録音して、カセットテープの音を聴くことである。

 

デジタルアンプはなぜ急速に人気がなくなった

最近デジタルアンプの流通量が減っていると感じませんか。

新品は高価になり、中古は流通量が減っています。

すでに相当量を抱え込んでいる私のような人も多いと思います。

 

長いことオーディオをやってきますと、流行があり、廃れていく機材があります。

カッセットテープとか、MDプレーヤ、そしてLPプレーヤ、さらにCDプレーヤもそうでして、これらは今流行の音楽通信配信が廃れるまで浮き上がる事は難しい気がします。

 

もっとも、LPプレーヤはデジタル疲れをした方々には最も手っ取り早い対応法です。

あまりにもデジタル化が進歩し過ぎて、従来の技術が抹消された感があります。

 

デジタル製品は、特に音楽を聴く対象として優れている訳ではありません。圧倒的にコストがかからず効果が大きいのです。

 

さらに安価に大出力が得られ、能率が悪く表現効果の悪い小型スピーカーを、パワフルに鳴らし音楽性を上げようとしています。最近の音楽はこうした音楽性?に合わせたアーティストが増えているのも事実です。

従って、容易に過去の音楽性に戻る事はなかなか難しいと思います。

 

オーディオマニアと音楽好き人間が乖離し始めたと言っても良いでしょう。

 

オーディオ産業として考えた時、オーディオメーカーだけが努力しても、いずれは過去の歴史のように廃れる可能性もあります。

現存するメーカーは中小を除き、ほとんどが外資です。

日本国内でのオーディオ産業は、やはり浮き沈みの激しい分野である事には間違いがありません。

 

 

工作マニアは部品を外して保存する

 
私はずいぶん大昔から、オーディオ機器はまるごと捨てない。


また、フリマで安価に処分はしてきていない。


 


例えば50年前の機材のパーツも外して保存してある。


もっと細かく例えるなら、 マランツのCDプレーヤーはCD25なんて言う当時チーパな物で も、 外装は処分してもプリント板上のICは半田吸い取り機で丁寧に外 し保存してある。


これはCD34に転用出来るからである。


オーディオ機器は何と言っても電子回路より機械部分が故障する。 しかしたまにIC不良がある。


回路図上の電圧値をチェックしてもデジタル回路はDC的に一連と なっているからまず原因は判明出来ない。


保障期間内ならメーカは基板ごと取り換えるのが一般的である。


 


CD34で以前一度だけICを出力側から取り換えていったことが あるが、デコーダ回路より先のサーボ基板のIC不良が判明した事がある。


そんな訳で、ケミコン以外はたいてい保存する。 ケミコンも一応保存してある。


もはや秋葉原へ行く必要はほとんどないのである。


二束三文で処分したり、粗大ゴミに出すのはもったいない。


手に入らない部品がたくさんある。


 


もっとも最近の機材は集積回路でかためられ、外す部品すらない。


 


 

TANNOY HPDのメンテナンス

ビンテージオーディオ機器の愛用はメンテナンスが重要である。

開発設計者の基本設計は尊重しつつも、50年も使用するにはどんな機材も個人あるいは専門業者による修理が必要となる。

自分でやるとすれば、時には設計者の意図に反した修理を兼ねた改良の時がやってくる。

それは周辺機器や音源が進歩するからである。

このタンノイHPDもそうである。

先日らい高域で歪みを耳にする事が多くなった。

原因はスピーカーユニットを外す以前から想像がついていた。

ネットワークのアッテネータの接点の接触不良である。以前から認識済であったが、接点復活剤を使いたくなかったので放置して来た。しかし、もうそれでは済まなくなってきた。

やむを得ずユニットを外し、アッテネータを取り出し回転スイッチの僅かな穴から接点復活剤をかけた。どの位の期間良好な状態が維持出来るかは不明だが、今はこの方法しか残されていない。

ネットワークに手を加えるのは2度目である。最初の時はフィルムコンデンサーをオイルコンデンサーに変更した時である。

タンノイのスピーカーは聴感的な試聴により完成されている。だからシルバーモニターやレッドモニターとHPDが異なるのは勿論コーン質量の違いが一番の要因であるが、その他にもネットワークのコンデンサーがオイルコンデンサーからフィルムコンデンサーに変わってしまった事にも原因がある。

他のスピーカーシステムと異なりタンノイの音は必ずしもフラットな特性ではない。

フィルムコンデンサーに変わった事により、コンデンサーのピーク音を避けるために数Ωの抵抗をシリーズに入れてあるが、これでも十分ではない。試聴しながら一部のフィルムコンデンサーをオイルコンデンサーに変えると、もちろん音質は良化する。
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このように自分流に現代音源に対応するように改造をしているのである。

ビンテージオーディオ機器だから大昔同様に音が良いと言う事は決してない。

philips LHH500クランパーベルト交換

2022.5.22に同じタイトルでLHH500のクランパーベルト(ローディングベルトという人もいる)の交換記事をアップしているが、あれから1年8か月振りに前回と同様の不調が起きた。

早速その時と同じ手順でメンテナンスをする事にした。

滑っているベルトを取り外すと変形している。
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これはネットで購入した物で、格子模様の平板ゴムを打抜き円形にしたものである。

適度の硬さがあり、伸びにくかったが1か月程、動かさなかったら変形してしまった。

ベルト平面部、つまりアイドラーとの接触面は打抜き加工のため完全な平面ではなく、線状の接触跡がある。

このベルト、応急用には良いが寿命が2年弱と言う事である。

しかし、使い方によってはもっと長期間の使用に耐える可能性もあるので、参考まで。

ちなみに新交換ベルトは内径36外径40、2mm角ベルトにしてみた。

 

演歌歌手の一生現役は難しい

先日、NHKローカル局の放送で70歳になる現役歌手が新曲を歌っていた。

まず気になったのが、声にデジタルエコーをかけ過ぎてとても歌唱とは思えない。

デジタルエコーであるから、トンネルの中で声を出す反響とも違う。

 

実は最近CDを買う機会が多いが、高齢の歌手はレコード会社の調整卓エンジニアにより、このデジタルエコーがかけられている事が多い。それも、かけ過ぎ!と声を上げてしまう程デジタルエコーをかけているのである。

 

歌手は高齢になると、無声音は出しにくいし、音域はより低く狭くなる。

最近引退した演歌の大御所は、テレビで聴いていて、よく恥ずかしくないものだと思っていたが、やはり出なくなった。

美輪明宏氏は、人様に聞かせる声が出ないと歌手としての出演を断っているそうで、これが歌手としての当然の責任である。

 

レコード会社や放送局にも視聴者を馬鹿にしたような低レベルの調整卓エンジニアを使っていることに問題がある。

 

決して安くはない金銭の代償がこの声(音)であるならば、いくらオーディオ機器の性能にこだわっても無意味なのである。