ビンテージオーディオ機器の愛用はメンテナンスが重要である。
開発設計者の基本設計は尊重しつつも、50年も使用するにはどんな機材も個人あるいは専門業者による修理が必要となる。
自分でやるとすれば、時には設計者の意図に反した修理を兼ねた改良の時がやってくる。
それは周辺機器や音源が進歩するからである。
このタンノイHPDもそうである。
先日らい高域で歪みを耳にする事が多くなった。
原因はスピーカーユニットを外す以前から想像がついていた。
ネットワークのアッテネータの接点の接触不良である。以前から認識済であったが、接点復活剤を使いたくなかったので放置して来た。しかし、もうそれでは済まなくなってきた。
やむを得ずユニットを外し、アッテネータを取り出し回転スイッチの僅かな穴から接点復活剤をかけた。どの位の期間良好な状態が維持出来るかは不明だが、今はこの方法しか残されていない。
ネットワークに手を加えるのは2度目である。最初の時はフィルムコンデンサーをオイルコンデンサーに変更した時である。
タンノイのスピーカーは聴感的な試聴により完成されている。だからシルバーモニターやレッドモニターとHPDが異なるのは勿論コーン質量の違いが一番の要因であるが、その他にもネットワークのコンデンサーがオイルコンデンサーからフィルムコンデンサーに変わってしまった事にも原因がある。
他のスピーカーシステムと異なりタンノイの音は必ずしもフラットな特性ではない。
フィルムコンデンサーに変わった事により、コンデンサーのピーク音を避けるために数Ωの抵抗をシリーズに入れてあるが、これでも十分ではない。試聴しながら一部のフィルムコンデンサーをオイルコンデンサーに変えると、もちろん音質は良化する。
このように自分流に現代音源に対応するように改造をしているのである。
ビンテージオーディオ機器だから大昔同様に音が良いと言う事は決してない。