300Bシングルアンプの難しさ、その8

300Bシリーズも、これが最後です。

残る最後は特に問題のない信号回路です。

私の作ったWE300Bシングルアンプは、いくつもの製作段階があり、初期はタムラの段間トランス、出力トランス、パワートランスでかためた壮大なものでしたが、アンプの細かいチューニングをするには、余りにも重たく、その割には性能が良くありませんでした。

技術レベルが低かったのかも知れません。

 

初段真空管も、最初は5極管の6267で次に12AX7のパラ接続、そして最後に12AU7のパラ接続でした。

音質は12AX7のパラが好みでしたが、増幅率の高い初段管は300Bとの歪み打消しに対して、バイアス抵抗つまりカソード抵抗値の許容変動幅が少なく、難しい一面がありました。

 

12AU7のパラに決めてからも、トランス結合にしたりして、これ以上はあるまい、と思うレベルへの挑戦でしたが、結局現在のアンプに落ち着きました。

これが、30年程前の話です。

 

スピーカーがタンノイですから、QUADの405アンプの音と比較しながらの試行錯誤でした。(音質を似せるという事ではないです)

 

CDプレーヤーも幾つも買い集めましたが、今ではマランツのCD34とphilipsのLHH500だけしか残っていません。

 

耳は一人分ですから、よくよく考えると、アンプやスピーカー等の機材の数を増やしても意味がないのですが、それでも比較して聴き比べるのは楽しいものです。

 

話をアンプの回路に戻します。

真空管アンプでは、一番音質の良い抵抗器は私個人的には、カーボンソリッド抵抗だと思います。

殆どをソリッドにして、一部ホーローとかセメント、あるいは金属被膜抵抗器にしました。

音質に影響の出る初段のカソードパスコンは銀タンタルコンデンサー、カップリングコンデンサーはオイルコンデンサーが一番良かったと思います。

また、電解コンデンサーにはすべて1/100位のオイルコンデンサーをパラに付けてあります。

そんな訳で、製作したアンプの内部は整然とした配線は無理でした。

 

時々、ネットの画像で部品数が少なく、整然と美しく配線されたアンプの内部をお見受けいたしますが、よほど大きな筐体にしない限り、私には受け入れ難い目標です。