MCトランス内蔵カートリッジ

オルトフォンのカートリッジにMCトランス内蔵品が発売された。

40年ぶりであるそうだ。

一般的にトランスは小さいと高域特性が優れ、大きいと低域特性が良い。

コア材はケイ素鋼板、パーマロイ、アモルファスなどがあるが、これもどれが良い悪いと言う訳ではなく、それぞれに特徴がある。

必ずしも高価なコア材や大きなトランスが、一般的に音が良いという訳でもない。

大昔のwestern electricのトランスには純鉄が使用されていた物もある。

ここでのオルトフォンのトランス内蔵カートリッジはパーマロイ材を使用との事で、かなり小型なトランスを内蔵しているものと思われる。

微小信号であるから製造技術は高度になるが、小さなMCトランスから出てくる音はさぞかし音が好ましいものだと推測出来る。

http://www.phileweb.com/news/audio/202311/24/24886.html

 

真空管アンプ等でも時々巨大なトランス類を誇らしげにお使いのアンプをお見受けするが、トランスは扱う出力容量ぎりぎりの方が昔から音が良くなると言われている。

音が良いとは、高域から低域までバランスのとれた状態を言うのであろう。

周波数特性や歪率を測定した値だけではない。

 

 

2023インターナショナルオーディオショー

オーディオショーが始まった。と言うか今日時点で終わった。

今年はオンラインでざっと見ると、円安で一段と高価格になっている。

特別な新しい技術は見かけないが、とにかく価格が高い。

庶民は見に行くだけなら、目の保養によい。

 

例えばターンテーブルが1000万円。大昔なら10万円レベルの物だから、単純にかんがえると100倍と言うことになる。

お断りしておきますが、こんな物は特殊な用途にしか使いません。SN比は良いのだろうけど、だいたい家庭ではそんなにSを上げて使用しないので、Nも下がる訳です。Sがゼロになった時若干Nが目立ちますが、気になるほどではありません。

それにターンテーブルのフローティングは昔からありますが賛否両論です。

 

まあ、製品評価は個人の自由として、円安と金余り現象はこんなところにも影響しています。

https://online.stereosound.co.jp/_ct/17665018

伊藤喜多男氏製作アンプ発表会

かなり昔の話である。

無線雑誌で伊藤喜多男氏が自身の製作したアンプの発表会をするということで、参加者を公募した。

場所は池袋の大きな喫茶店だったと記憶する。

まだ若かった私は是非聞かせてもらいたいと一人で出かけた。

 

ご本人の自己紹介に始まり、伊藤さんは「このアンプは今朝完成したばかりで、あまり手を加えていない」と謙遜か弁解かどちらにも受けとれる発言の挨拶をして、登場したのがWE300Bのプッシュプルアンプであった。

スピーカーはアルテックのA7とかA5の類いだったと記憶する。

 

伊藤さんは日本で最初にWE300Bを発表した方で、ご自身がwestern electricの保守などを手掛けた先駆者である。

映画館の音響設備などでしか使われなかったWE300Bは、当時日本人には知られていなかった時代である。

 

WE300Bに関して言えばこの方を知らない人はいないのである。

 

話しを戻し、その発表会での音の印象であるが、自分にはなじめない音質であったと強く記憶に残っている。

伊藤さんは映画から音響技術を築きあげた方である。私は茶の間の並4ラジオから音楽に親しんできた。

「三つ子の魂百まで」という訳でもないが、ひとは何から音楽の道に入ったか。で潜在的聴感神経が異なりそうである。

音響技術の向上により、だんだん高度な聴感に変化をするが、基本はどうも幼児期に遡るようである。

 

そんな訳で、自分がWE300Bアンプを製作するときは、western electricのコピーや伊藤さんのコピーを最初からめざしてはいなかった。むしろ今ではあまり流通していないヨーロッパ系の直熱管の音に興味があった。

しかし、真空管の入手難でWE300Bで自分の理想のアンプづくりを続けてきたが、当然音の良さでは共通点が多いのである。

 

どんな回路でどんな構成でWE300Bアンプを製作するかは、個人の技量と好みの音質に基本があるような気がする。

ガチガチのWE91Bアンプマニア

ネットを閲覧していたら、多くの賛同と反感がありそうな、「機械に拘束された人」の記事を見つけました。

https://blog.goo.ne.jp/8417chiharu/e/8b2174019649ca30621f92fe35057bf8

これがそのブログです。

機械が音楽を奏でる。と言った印象です。

音楽はもともとアナログの基音と倍音が混合した楽器の集まりのメロディーです。

そういう意味ではボーカルも楽器の一種です。

音源を録音して、再生する。

これがオーディオシステムです。

音源から録音までの段階で、まず音楽は技術者によって音質や脳で想像するイメージが変化します。

さらに再生段階で拾い上げた信号をどんな過程で部屋に響かせるか。

これが再生システム機器等によりさらに膨大な変化をする要素があります。

レプリカWE91Bアンプとは言っても、その音はそれらの過程の極一部と言っても良いでしょう。

 

このお話、長くなるので結論を急ぎ終わりにします。

音楽はトランジスターラジオでも、スマホでも、高価な音響機器でも楽しめます。

ただ、出てくる音をさらに細分化して、それぞれの音に美意識が感じられるなら、それで良いという事です。

特に現代は最初の録音段階で、想像を絶するデジタル加工がなされていますから、レプリカWE91Bアンプの音なども簡単にぶっ飛んでしまいます。

 

これは音が良い、と言う無責任表現

よく製品の評価で、これは音が良いと言う表現があるが、この音が良いとは何であろう。

 

音が良いという言葉使いは、はなはだ無責任な表現である。

音響機器で音がよいと言うのは

万人共通の音のよさに加え、個人の好みに重点がある。

 

例えばデジタルアンプが、音の切れ味繊細さで音が良いと感じる人がいるとする。

しかし、それが不自然と感じる人もいる。

 

真空管アンプが最高と思う人がいる一方、それをまったく否定する人もいる。

ましてや音響機器を構成する部品となると、さらに話しが混みいってくる。なぜならば音質は音源から部屋に放出される音響効果として総合的に評価されるべきで、そのうちのたった一つ部品を変えて音質が飛躍的に良くなるものでもない。

(例えば部品単体で特製のよいフィルムコンデンサーでも、デジタルアンプシステムに組入れられる場合、スピーカーネットワーク内のコンデンサーとしてはNPケミコンの方が自分としては音が良いと感じることが多い。)

 

大昔は権威ある製作者が作り上げたアンプは音が良い、という評価が多かった。配線の仕方が違うとか、何か特別な能力を誇示するものも少なくなかった。

しかしそれも技術の進歩で、そんなに違いはなく、むしろその製作者が公表しない隠し味的な秘密の細工がしてあったということが明らかになっている。

 

そうした秘密の技術を誇示しても、すぐにバレてしまう時代でもある。

さらにビンテージオーディオが素晴らしいと思う心理も、古い時代の最高の技術であり、現代技術はそれをとっくに乗り越えているのである。

 

こだわりのオーディオシステムも時間が経てば劣化もする。

 

どんな音が素晴らしいかは、結局ご自分が長い年月をかけ試行錯誤を繰り返し構築し続けるオーディオシステムであって、決して特定な音響製品を買い込んですぐに得られるものではない事を認識しよう。

 

マランツCD34トレイギア自作

CD34のトレイギアはオークション等で色々な種類が販売されている。

CDがこの世に誕生して数年後に販売された機械であるから、オリジナルギアが装着されているセットはもう現存しないであろう。

最近は3Dプリンターなどが普及してコピーする事が出来そうだが、ポリアセタール樹脂(デルリン)の素材が素人では入手困難ではないかと思っている。

 

そういう事もあってか、自作品を売りこむ輩も現れた。

私もかなり以前に自作でこのプーリーギアを確保してある。

それを紹介したい。

 

まず材料だが

1 0.3mm厚の銅板ほんの少し

2. 真鍮製ギア、これは破損したギアの直径と歯数からおのずと定まる。以前入手ししたのは科学教材社であったと記憶するが、今も扱っているかはご自分でお調べ下さい。

3. PCのCDドライブ等を分解した時に出る小ネジ。

あとは工具、ハンダこてなどである。

 

製作は説明に及ばず、画像を見れば一目瞭然である。これを見て出来そうだと思う方は挑戦の価値があり、心配に思う方はおやめになった方がよい。
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ギアが入手出来れば、レゴブロックのプーリーにハンダこてで圧入しても出来る。
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圧入後裏面にエポキシ樹脂を充填する。

 

銅板を使用した方は完璧で、数十年経っても全く問題が出ていない。もちろんレゴブロックの方も心配はいらない。

 

アッテネータの製作例

最近は新たな製作例がない。

高齢化で挑戦気力がやや薄らいでいる。

そこで、まだアップロードしていない音量調節器を上げてみたい。
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この機材は31年前に製作して、現在もバリバリ現役である。

特徴は細長く、VRが後部にありカップリングでシャフトだけを全面に出し、50mm径の大きなアルミ削り出しツマミをつけてある。

機能だけならamazonで700円程で入手出来る物ではあるが、31年も使い続けるにはそれなりの理由がある。
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ずっしりとした重量感、RCAピンコネクタは背部に音量ツマミは全面に配置され筐体の全長は30Cmである。
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筐体の全パーツが手作りで精度はコンマ数ミリである。

VRは当時最高レベルの回転抵抗値精度の高い物である。

この機材がWE300Bシングルアンプとwestern electricインプットトランス機材との間に入り、音量調節をしている。

 

こんな物を長期間かけて製作していた時代を今では懐かしく感じられる。

それが今日の生存本能を支えているのかもしれない。