フリマで中国製6L6GCシングルアンプという物が出品されていた。
2年ほど使用して、その後押入で眠っていたらしい。
しかし、出品説明文に音出しはしたけど、ジャンク品とはっきり断りがある。
訳ありな事は容易に推察が出来る。しかし興味の思考は止まらない。
それで、思い切って値下げの依頼をしてみたらOKが出た。
送られてきてすぐにシャーシ内部を覗くと、すぐに分解するには少し惜しい気がした。
取り敢えずケーブル類を接続をして音を出すと、濁った高域、詰まった低域、こりゃやっぱりジャンクだ。
しかし、この音の性質はかなり以前に経験済みである。そう、40年以上むかし、当時自作したVT52シングルアンプの時の音質傾向である。
あの時、そのためだけに作った出力トランスの消磁器がまだ実家にあるはずだと探しに行くと、外観は埃まみれ、金属は腐食、可変抵抗器は錆びついて動かない。
まず持ち帰り掃除と油を差してみるとなんとか使えそうだ。
何ということはない、出力トランスの消磁器とは12V0.5Aほどの電源トランスに0→12V→0V→12V→0Vと電圧可変が出来るツールである。
早速、出力端子にこの可変電源装置を接続して電圧を上げたり下げたり数回して、最後はゼロVで終了する。
たったこれだけで出力トランスの磁化は解消されるのである。
出力トランスが帯磁する原因はよくわかっていない。
とにかくこのアンプは、一つも手を加える事なく正常音が再現できた。
分解のつもりがあっけなく修理完了で少しがっかりでもある。